2時間ドラマもびっくり!【人類最古の殺人事件】が最新テクノロジーによって発覚ッ!?

43万年前の人骨の採掘抗
スペイン北部にあるアタプエルカは、旧人類から現生人類にいたるまでの幅広い人類の痕跡を残す洞窟が数多く存在する土地として知られています。
そんな洞窟の中のひとつに、シマ・デ・ロス・ウエソス “骨の採掘抗” という、何とも恐ろしい名前がつけられた洞窟があります。
この洞窟からは、今からおよそ43万年前の更新世中期と呼ばれる時代に生きていた ホモ・ハイデルベルゲンシス の人骨、約30体分が発掘されています。
「深い縦穴の底にあるこの場所に、なぜこれほどの数の人骨がまとまっているのか・・・?」
研究者たちは未だその明確な答えにはたどり着いていない。
法医学で傷の謎に迫る
考古学者のRolf Quam 氏らのグループは、この “骨の採掘抗” から発掘された人骨の中に、二つの大きな傷を持つ頭蓋骨があることに気づきました。
この頭蓋骨は、20年以上もの期間をかけて採集された52片の骨のカケラをつなぎ合わせて復元したもの。
研究グループはCTスキャンにかけ、現代法医学の手法を用いて頭骨全体の状態や傷の位置、角度等について詳細なデータを収集、分析を行い
その結果、これら二つの傷は陥没骨折によるものであることが分かったのです。
そして二つの陥没骨折は 寸法も傷の輪郭もほとんど同じ。つまり、どちらも同じ物体からの衝撃によって引き起こされたものだと推測されます。
また二つの陥没骨折は、それぞれが異なった角度から個別の衝撃を受けて生じた ことも分かりました。
つまり、何か大きな衝撃が2度にわたり別々の方向から加わったことになります。
法医学的に見ても、事故または偶発的な出来事によって引き起こされた頭蓋骨の骨折は、頭蓋骨の側面に生じるのが典型的であり、
このように 前側の顔面に近い部分に生じる のは意図的に引き起こされた場合であるととらえるのが一般的です。
また、これらの骨折が「死後」ではなく「生前」に起こったものである可能性が高いことを示す法医学的データも見つかりました。
陥没が頭蓋骨を貫通して脳にまで達しているという傷の深刻さと、その陥没骨折が治癒した形跡も見られないことから、この人はこの骨折によって死亡したと考えられます。
人類最古の殺人事件か?
得られたデータを総合的に判断した結果、研究グループは、この陥没骨折は他者から意図的に殴打されるという暴力によって発生したものであり、それによって死に至ったものであると結論づけました。
つまり、殺人事件の被害者の頭蓋骨であるということです。
Rolf Quam 氏は「人間の化石に対人暴力の証拠が残っているのは相対的に見て珍しい例だ。これは記録に残っている事件の中で、最も古い未解決事件だと思われる。」と述べています。
43万年の時を超えて、浮かび上がってきた未解決殺人事件・・・
犯人は誰だったのか?!
動機は?!
永遠の未解決事件だけに想像が膨らみます。
そして、43万年前の祖先たちも、現代を生きる私たちと同じように、悩みや葛藤を抱えながら生活をしていたのだろうかと思うと、
テクノロジーは飛躍的に進歩しても、人間の根源はそれほど大きく変化していないことをあらためて感じずにはいられませんね。
参照(Discovery)